店舗開発の判断や日商の予測など、さまざまな用途に活用
株式会社 ファミリーマート様(FM-GIS)
ファミリーマート社内で使用されている店舗開発用GISのフロントエンド側を株式会社ゴーガが開発。携帯電話の位置情報をもとにした人流ビッグデータ「KDDI Location Data」を全国規模でシステムに採り入れ、全国各地で店舗開発を行っている担当者の方々が、店舗開発の判断や日商の予測など、さまざまな用途に活用しています。
※本ページ内容のオリジナル記事は株式会社ゴーガのものになります。
https://www.goga.co.jp/works/interview_fm-gis.html
- 社名
- 株式会社ファミリーマート
- 導入サービス
- FM-GIS(店舗開発用GIS)開発, KDDI Location Data , Google Maps Platform
- キーワード
- 店舗開発, エリアマーケティング, KDDI Location Data, 人流データ, Google Maps Platform
[インタビュー]
株式会社 ファミリーマート
システム本部 次期会計システム部 部長 川口卓司 様(中央)
エリア支援システムグループ 石崎達也 様(左)
経営企画本部 経営企画部 DX推進室 マネジャー(兼)
エリアサポート本部 店舗開発・審査部 開発決済・分析グループ 吉野健 様(右)
- 社名
- 株式会社ゴーガ(GOGA, Inc.)
- URL
- https://www.goga.co.jp/
- 概要
- Google Maps Platform プレミアパートナー。
Googleマップを導入する際のコンサルティングや、Googleマップを活用した地図システムの受託開発、店舗検索システム「GOGA Store Locator」をはじめとしたクラウド型サービスを提供。
KDDI Location Dataをはじめとした位置情報ビッグデータの提案も行う。
- 事業内容
- ITコンサルティング
ウェブサイト設計・構築
システム設計・構築
ソフトウェア開発
インターネットサービス運営
株式会社ファミリーマートは、DX推進強化の一環としてファミリーマート社内で使用している店舗開発「GIS」を刷新。
今回は、新しくなった「GIS」と、共に導入した「KDDI Location Data」システムの活用方法など、果たしている役割について、システム本部の川口様、石崎様、およびDX推進室と店舗開発・審査部を兼任されている吉野様にお話を伺いました。
課題
- 約10年前に開発移行した既存システム(店舗開発用「GIS」)では機能やUI面で改善効果を実感できなかった。
- 既存システムでは、使い勝手や画面の読み込み・印刷スピードなど性能面に課題があった。
- コロナ等による直近人流の影響把握が、公的統計データだけでは難しかった。
- 従来調査(調査員実測による歩行者通行量調査)では、原則1日の調査であるため対象エリアにイベントなどがあると影響を受けやすく調査精度に課題感があった。また、調査の度に人員手配の手間やコストが大幅に掛かっていた。
効果
- レスポンスや使いやすさなど、これまで課題だった点が良くなった。
- 携帯電話の人流データを使うことで、全国約1万6,000店について同じ条件でデータを取れることが可能になった。
- 可視化された時間帯別のKLDデータで人流を確認することで、店舗に対して品揃えの時間をSVが店舗へ提案することが可能となった。
- 既存システムでは難しかったコロナによる人流影響の把握もタイムリーにできるようになった。
- これまで調査員による実測を行っていた歩行者通行量調査も、道路を指定するだけでピーク時間が簡単に調べられ、調査時間の軽減が期待されている。
導入の経緯
使い勝手や性能面に課題があった「GIS」を
DXへの取り組み強化として刷新
— ゴーガのシステムを導入する以前は、既存の店舗開発用GISにどのような課題をお持ちだったのでしょうか?
川口様:これまで使っていた店舗開発用GISは、基本的なシステムは10年以上前に開発したもので、2017年にクライアント・サーバーシステムからウェブシステムへと移行したものの、機能もUIもそれまでとほとんど変わらず、使い勝手はもちろん、画面の読み込みや印刷スピードなど性能面においても課題がありました。
アルゴリズムに基づいてデータを可視化
業務の最適化を図り既存店の分析にも活用を期待
GISを店舗開発だけでなく、社内のデータサイエンティストが開発したアルゴリズムに基づいて色々なデータを可視化して、さまざまな業務の最適化を図るとともに、既存店の分析にも活用しようということでリニューアルすることに決めました。
求めた機能
— リニューアルするのにあたって、新しいシステムにはどのような機能や性能を求めていましたか?
川口様:まずはGISの基本機能を正しくわかりやすく、そしてレスポンス良く使用できることを目指しました。もちろんビッグデータを使った解析機能なども重要ですが、やはり使い勝手の良さとセットで考えるべきであり、解析したデータをきちんと可視化する仕組みを考える必要がありました。
いかに軽く
速く動くシステムを作るかがポイントに!
— ゴーガ採用に至った理由をお聞かせください。
吉野様:今回、GISのエンジン部分については別の会社にお願いしたのですが、フロントエンドの部分についてはGoogle Maps Platformの活用を前提にベンダーを探したところ、Google Maps プレミアパートナーであり、画面開発に定評があるということでゴーガさんにお願いすることにしました。
Google Maps Platformを使わない選択肢はなかった
— Google Maps Platformの採用を前提にした理由は何ですか?
吉野様:以前使っていたシステムでもGoogle Maps Platformを使っていて、GISの地図としてGoogle Maps Platformは必須のものだという考えがあったので、それを使わないという選択肢はありませんでした。
また、Google Maps Platformは渋滞情報が標準で利用可能である点も魅力です。
渋滞が多い場所はお客様が入りづらく、来客数が少なくなる傾向があり、コンビニの店舗開発にとって渋滞情報は非常に有用です。
Google Maps Platformの採用を前提で開発
徒歩・自転車・自動車など交通手段別の商圏範囲を地図上で確認
『KDDI Location Data』採用の決め手
KDDI Location Dataは『道路単位でデータを取得できる」
他社データはメッシュ情報が中心
— KDDI Location Dataには、どのような点に魅力を感じて導入を決定したのでしょうか?
吉野様:携帯電話の位置情報を収集したビッグデータの存在は以前から知っていました。弊社では、新規出店にあたっては調査会社に依頼して通行量や競合店の調査などを行うのですが、既存店についてはそれほど厳密な調査を定期的に行うことはありません。
携帯電話の人流データを使うことで、全国約1万6,000店について同じ条件でデータを取れるわけですから、とても有用だと思います。
その中でも、KDDI Location Dataに魅力を感じたのは、他社のデータはメッシュ情報が中心であるのに対して、KDDI Location Dataは道路単位でデータを取得できるという点が大きかったです。
KDDI Location Data(道路通行量データ)
ストリートビューで周辺環境を確認しながらデータを分析可能
導入の効果
「これはすごいね!」
社内からの苦情が一件もなし
— システム導入後、狙い通り課題は解決されましたか?
吉野様:2021年1月に社内で正式に導入する前にプレリリースをしたところ、画面の操作性や地図の表示・印刷などのレスポンスについては社内から苦情が一件も出ませんでした。また、「操作方法が難しい」とか「使い方がよくわからない」といった不満の声も聞かれませんでした。
GISの使い方をよくわかっている新規事業開発の担当者の中には、マニュアルなどを一切見ないで新システムの操作方法をすぐに理解し、「これはすごいね」と驚いた者もいました。UIについて、弊社がイメージする通りに作り込んでいただけたおかげだと思います。
ユーザー評価がガラリと変化!
地図レスポンスと見やすさ、操作しやすさ変えただけでデータソースは変えず
川口様:データソースが変わっていなくても、地図のレスポンスと見やすさと操作のしやすさを変えるだけでも、ユーザー側の評価はがらりと変わるということがよくわかりました。レスポンスや使いやすさなど、これまで課題だった点が相当良くなったのだと思います。
— KDDI Location Dataへの評価についてはいかがですか?
吉野様:人流データについては非常にデータ量が豊富なので、まだ十分に使いこなせていないのが現状です。
ただし、今は店舗開発の担当者しかこのシステムを使用していませんが、段階的にスーパーバイザーも使えるようにしていきたいと考えており、使用できる人が増えれば新たな活用方法も見つかると思います。
導入メリット
可視化された時間帯別人流データで、SVが店舗の品揃え
提案に活用することが可能に
— システムを導入したことで、当初は想定していなかったメリットなどがありましたら教えてください。
吉野様:KDDI Location Dataでは、時間帯別の人流データがわかるので、これを活用して、フライヤー商品(揚げ物や焼き鳥などの店内調理品)を調理するタイミングを店舗に提案するなど、新しい使い方があることに気付きました。
店舗オーナーさんのお悩みも解決
コンビニのオーナーさんや店長さんというのは、店にいる時間がどうしても長くなるため、時間帯によって店の周囲を歩く人の人数がどのように変わるのか、ということを知らないことが意外と多いです。このようなデータを使って人流を可視化し、スーパーバイザーから提案することで、さらに使い方は広がると思います。
(左から)吉野健様、川口卓司様、石崎達也様
近未来の活用法
どの辺のエリアから、
どれくらいお客様が訪れているか商圏を可視化
マーケティングツールとして活用に期待
吉野様:既存店の店舗の商圏なども可視化できるので、自分が担当する店にどの辺のエリアからどれくらいのお客様が訪れているのかがわかり、マーケティングツールとしての活用が期待できます。
また、弊社は例えば、コインランドリーの併設店など新規事業開発にも取り組んでおり、このような新しいコンセプトの店の開発にも役立つと思います。
コインランドリーの併設店など
新しいコンセプトの店舗開発にも役立つ
今後の展望と想い
新規店舗開発のためにも大いに活用し、
すべてのオーナーさんが幸せになれるよう取り組んでいきたい
— コンビニエンスストア業界の最近の動向と貴社の今後の展望、そしてその中でゴーガのシステムがどのような役割を担っているか、ご意見がありましたらお聞かせください。
吉野様:弊社ではこれまでGISを主に新規店舗開発に使用していたのですが、他のチェーンとの合併などもあったため、今後は既存店の再配置にも取り組んでいく必要があり、それを人の感覚ではなく、地図できちんと可視化しながら将来に向けて検討していくためのツールとして今回のシステムを活用したいと考えています。
そして従来通り、新規店舗開発のためにも大いに活用し、すべてのオーナーさんが幸せになれるように取り組んでいきたいと思います。
どこに店舗が?周囲の施設は?情報を視覚的に捉え理解できる
「店舗情報を見るためのポータル」に
川口様:社内で共有される店舗の情報というのはテキストベースのものが多いですが、数字だけを見ていてもイメージできないことが多く、実際に地図上のどこに店舗があり、周囲にどのような施設があるのか、そういった点も含めて店舗を理解できるようなシステムとして広く社員に公開していくことで、「店舗情報を見るためのポータル」として発展させていけるのではないかと考えています。
使う側も「GISとはこのように使うもの」という固定概念を外して考えるべきだし、そうすることでこのシステムが店舗情報を多面的に分析できるプラットフォームとなることを期待しています。